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SAP(エス・エー・ピー)は、世界中の企業に採用されているERP(統合基幹システム)ベンダーであり、その製品群の総称としても使われます。基幹システムの刷新を検討するとき、「自社に近い業種・規模の企業は、どんな課題があってSAPを導入し、どんな成果を得たのか」を知りたいという方は多いのではないでしょうか。本記事では、SAPの普及状況を俯瞰したうえで、株式会社アイ・ピー・エス(以下、IPS)がご支援した導入事例を業種別に紹介し、企業規模別の進め方や成功企業に共通する要因まで解説します。中堅企業でSAP導入や基幹システムの刷新を検討している、情報システム部・経営企画部のご担当者に向けた内容です。

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三和スクリーン銘板様・ナミックス様・ニチバン様のSAP導入事例を、導入背景から効果まで1社1枚でまとめました。

SAPはどのような企業に導入されているのか

SAPは、世界180か国以上で、44万社以上の企業に利用されている基幹システムです。25業種以上のベストプラクティスを標準搭載し、製造業や商社、小売など幅広い業種で採用されています。

かつてSAPは、大規模なシステム投資を前提とする大企業向けの製品という印象がありました。しかし近年は、クラウドERP(SAP S/4HANA Cloud)の普及によって状況が変わっています。自社でサーバーや基盤環境を保有・構築する必要がなくなり、初期投資や運用の負荷を抑えて導入できるようになりました。その結果、これまで大企業が中心だったSAPの導入は、中堅・中小企業にも広がっています。

具体的にどのような企業が導入しているかは、SAP社が公式に公開しているお客様の声・導入事例でも確認できます。本記事では、IPSがご支援した実際の導入事例をもとに、業種ごとの課題と成果を見ていきます。

SAPを導入する企業に共通する背景・課題

SAPを導入する企業には、業種を問わず共通する背景があります。代表的なのは、部門ごとに個別最適で構築されたシステムが独立して運用されており、全社のデータを一元的に把握できないという課題です。長年運用してきたスクラッチ開発(自社専用の作り込み)の基幹システムが老朽化し、属人化や保守負担が増しているケースも少なくありません。

また、海外拠点の展開に伴う多言語・多通貨への対応や、経営判断に使えるデータのリアルタイムな可視化も、導入を後押しする動機です。これらの課題は、次に紹介する各社の導入背景にも共通して表れています。

SAP導入企業の事例(業種別)

ここからは、IPSがご支援したSAP導入事例を業種別に紹介します。まず9社の概要を一覧で示し、続けて各社の導入背景と成果を解説します。各事例の詳細は、社名のリンクから公式の事例ページでご確認いただけます。

業種導入企業主な課題主な成果
製造業ニチバン様個別最適で分断された基幹システム約1年で全社業務システムを刷新し、データ統合と標準化を推進
製造業三和スクリーン銘板様スクラッチ基幹システムの老朽化・属人化クラウドERPで2023年に本稼働、業務標準化と運用負担の軽減
製造業ナミックス様業務プロセスが標準化されておらず、情報の見える化の遅れ一元化されたタイムリーな数値データの把握、迅速なシステム展開の実現
製造業萩原工業様システム老朽化と全社一元の原価管理導入2カ月で経常利益の約3割に相当する不採算製品を発見
製造業ニデックテクノモータ様日本・中国で別システム・コード体系が不一致複数拠点でSAPを統一し、データ精度向上と業務標準化を実現
製造業ファインネクス様主力製品喪失の危機と損益の不可視赤字製品を可視化し価格改定・撤退を迅速化、業務負担も削減
製造業河北ライティングソリューションズ様既存システムの管理負荷と機能的な限界スピーディーな情報共有と意思決定の実現、グローバルビジネスを見据えた経営基盤構築
商社東レインターナショナル様決算処理の長期化による連結決算開示の遅れ決算処理を3日から半日に短縮し、経理部門の残業を削減
小売(外食)吉野家ホールディングス様数千万件規模のデータ管理が煩雑月次だった分析を日次で確認可能にし、短期間で試行を開始

製造業のSAP導入事例

IPSが最も多くご支援しているのが製造業です。粘着テープや銘板、電子材料、合成樹脂、モーター、精密部品、特殊光源など、同じ製造業でも多様な業態で導入が進んでいます。

■ニチバン様(粘着テープ製造)

ニチバン様では、会計・購買・販売などの基幹システムが部門ごとに分断され、新たな中期経営計画に沿ったIT活用が難しいという課題がありました。IPSの支援のもとSAP S/4HANAを導入し、わずか1年で販売・生産計画から原価管理までの全社業務システムを刷新しています。トップダウンでの推進と、標準機能・テンプレートの徹底活用が成功の要因となりました。詳細はニチバン様の導入事例でご覧いただけます。

■三和スクリーン銘板様(自動車のエンブレム・家電のパネル等)

三和スクリーン銘板様では、10年以上運用してきたスクラッチ開発の基幹システムが老朽化し、非標準化・属人化という課題を抱えていました。標準機能を活用できるクラウドERPを選定し、2023年に本稼働しています。業務の標準化とシステム運用負担の軽減を実現し、変化に対応できる拡張性を確保しました。中堅企業でもクラウドERPで導入できる好例です。詳細は三和スクリーン銘板様の導入事例でご覧いただけます。

■ナミックス様(電子材料)

ナミックス様では、業務の標準化と情報の見える化、グローバル化への対応が課題でした。以前構築したスクラッチ基幹システムが老朽化し、属人化も進んでいたためです。SAPの導入によって属人化を解消し、業務プロセスの見直しと再構築を進めています。詳細はナミックス様の導入事例でご覧いただけます。

■萩原工業様(合成樹脂繊維)

萩原工業様では、システムの老朽化に加え、国際的な価格競争のなかで全社一元の原価管理が急務でした。標準原価による目標管理システムを構築した結果、導入からわずか2カ月で、経常利益の約3割に相当する不採算製品を発見しています。顧客別・製品別・部門別の利益管理を実現し、経営判断に生かしています。詳細は萩原工業様の導入事例でご覧いただけます。

■ニデックテクノモータ様(小型モーター)

ニデックテクノモータ様では、日本と中国の拠点で別々のシステムが使われ、コード体系も一致していないという課題がありました。複数拠点でSAPを統一することで、データ入力の精度が向上し、購買数量の正常化や情報共有の一元化を実現しています。営業・生産管理の業務標準化にもつながりました。詳細はニデックテクノモータ様の導入事例でご覧いただけます。

■ファインネクス様(精密部品)

ファインネクス様では、売上の多くを占める主力製品が、取引先の仕様変更によって将来的に失われる危機にありました。加えて、製品別・販路別の収益性を把握しづらく、経営判断に必要な情報を迅速に得ることが難しい状況でした。SAPの導入によって赤字製品を可視化し、価格改定や撤退といった経営判断を迅速化しています。工場間の在庫確認や週次の調整会議、棚卸といった業務の負担も大きく減りました。詳細はファインネクス様の導入事例でご覧いただけます。

■河北ライティングソリューションズ様(特殊光源)

河北ライティングソリューションズ様は、導入当時社員140名規模の企業です。業務の標準化とスピーディーな意思決定、将来の柔軟性の確保が課題でした。テンプレートを活用することで短期間での導入を実現し、約1年で稼働しています。中堅・中小企業でもSAPを導入できることを示す事例です。詳細は河北ライティングソリューションズ様の導入事例でご覧いただけます。

商社のSAP導入事例

SAPの導入は製造業に限りません。非製造業でも大きな成果が生まれています。

■東レインターナショナル様(総合商社)

東レインターナショナル様では、グループの連結決算を早期に開示することが経営上の重要な課題でした。SAPの導入により、決算処理にかかる期間を3日から半日へと短縮し、経理部門の残業も大きく減らしています。連結資料の作成期間も短縮し、業務品質の向上につなげました。詳細は東レインターナショナル様の導入事例でご覧いただけます。

小売・外食のSAP導入事例

製造業・商社にとどまらず、幅広い業種でSAPは活用されています。

■吉野家ホールディングス様(外食)

吉野家ホールディングス様では、日々数千万件から億単位で発生するデータの管理が煩雑で、分析指標の柔軟な変更にも対応する必要がありました。情報分析環境を構築することで、これまで月次で行っていた分析を日次で確認できるようになり、短期間で試行を開始しています。詳細は吉野家ホールディングス様の導入事例でご覧いただけます。

企業規模別に見るSAP導入

「SAPは大企業のためのもの」というイメージを持つ方もいますが、実際には企業規模に応じた製品が用意されています。前述のとおり、クラウドERPの普及によって、中堅・中小企業でも導入しやすくなっています。

対象企業規模適した製品特徴
大企業SAP Cloud ERP Private(プライベート型クラウド)個別要件に柔軟に対応するカスタマイズ性
大企業・中堅企業SAP Cloud ERP(パブリック型クラウド)標準プロセスベースで短期導入、定期的な自動アップデート
中小企業SAP Business Oneシンプルで低コスト

大企業で個別要件への柔軟な対応が必要な場合は、カスタマイズ性の高いSAP Cloud ERP Private(プライベート型クラウド)が適しています。標準プロセスをベースに短期間で導入したい中堅・大企業には、SAP Cloud ERP(パブリック型クラウド)が主流です。クラウド型は自社でインフラを構築・保有する必要がなく、サブスクリプションで費用を分散できるため、初期投資の負担を抑えられます。具体的な費用や進め方は、別記事で詳しく解説しています。

SAP導入に成功した企業に共通するポイント

これまで紹介した事例からは、SAP導入に成功する企業に共通するポイントが見えてきます。

1つ目は、導入の目的と達成すべき指標(KPI)を明確にし、経営層が強いリーダーシップで推進することです。ニチバン様のトップダウン推進は、その代表例といえます。

2つ目は、標準機能に業務を合わせるFit to Standardの考え方と、テンプレートの活用です。自社の業務に合わせてシステムを作り込みすぎると、コストや保守の負担が増え、バージョンアップも難しくなります。標準に寄せることで、短期間での導入が可能になります。

3つ目は、業務プロセスの標準化とデータの一元管理による、経営の可視化です。萩原工業様の不採算製品の発見のように、データが一元化されて初めて見えてくる課題があります。

4つ目は、稼働後の継続的な活用です。導入はゴールではなく出発点であり、定着と改善を続けることで効果が高まります。

なお、SAPは各業務が一気通貫でつながることに価値があります。そのため、必要な範囲を一度にそろえて導入する進め方が、効果を発揮しやすい仕組みです。導入で失敗しないための原因と対策は、別記事で詳しく解説しています。

SAP導入を成功させるパートナーの選び方

SAP導入は、単なるシステムの入れ替えではなく、業務改革を伴う取り組みです。そのため、標準機能の活用や拡張設計の知見を持ち、自社の業種・規模を理解して伴走できるパートナーの存在が、成果を大きく左右します。

IPSは、1997年からSAP専業として、180社を超える導入をご支援してきました。GROW with SAPの立ち上げ初期には日本でいち早く認定を取得し、早期からクラウドERPの導入に取り組んできました。独自の包括的なナレッジベース「Easy One」を活用した導入に加え、SAPパートナーアライアンス「UNITED VARS」の日本代表企業として培ったグローバル対応力を強みに、中堅の製造業・商社・卸売業を中心に支援しています。事例の一覧はIPSのSAP導入事例一覧でご覧いただけます。パートナー選定の評価ポイントは、別記事で詳しく解説しています。

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1997年からのSAP専業で培った導入支援サービスと実績を、会社概要とあわせてまとめました。

まとめ

SAPは、製造業から商社、小売まで幅広い業種・規模の企業に導入されています。本記事で紹介したように、製造業では全社業務の刷新や原価の可視化、商社では決算業務の効率化、小売業ではデータ活用の高度化など、業種ごとにさまざまな成果が生まれています。近年ではクラウドERPの普及により、従来は大企業中心だったSAPも、中堅・中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。

導入に成功した企業に共通するのは、目的の明確化とトップダウンの推進、Fit to Standardの徹底、業務標準化によるデータの一元化、そして稼働後の継続的な活用です。自社に近い業種・規模の事例を参考に、まずは導入目的の明確化と現状の把握から始めることをおすすめします。

IPSは1997年からSAP専業で、180社を超える導入を支援してきました。御社の業種や規模、課題に合わせて、最適な進め方をご提案します。SAP導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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