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Case

IPS導入事例

ナミックス株式会社様

スクラッチからSAPへ刷新、グローバル展開を加速し海外売上比率80%へ

新潟県に本社を置き、絶縁・導電材料のパイオニアメーカーとして世界で高いシェアを誇るナミックス様。海外進出の加速に伴い2012年にSAP ERPを導入し、グローバル基盤としてデータを一元化。導入にあたり自社の方針を確立し、会社全体で主体的な思考と行動を重ねた結果、業務の標準化、グローバル競争力の強化、一元化されたデータを生かした経営判断を実現されました。


導入の背景

  • スクラッチ開発におけるシステム維持・改修コストの肥大化

2000年頃に構築したスクラッチの基幹システムは、ハードウェア・OS・データベースを変更するたびにアプリケーションの改修が必要でした。変更のたびに時間とコストがかかる、身動きの取りにくい状態になっていました。

  • グローバル化に向けた情報の見える化の必要性

グローバル市場での競争力強化に向けて、受注から出荷までの業務をタイムリーかつ無駄なく行うための情報基盤整備が不可欠でした。しかし生産計画・在庫・出荷計画・生産進捗といった情報がデータで可視化されておらず、受注の都度、関係部署へ電話確認が必要な状態でした。また、経営層が製造拠点や工場新設などの経営判断を行うための正確な情報基盤も整っていませんでした。

  • 業務標準化による効率化を目指す

スクラッチシステムは従来の業務のやり方に合わせて構築されていたため、「標準的な業務プロセス」が見えず、非効率な状態が続いていました。今後のグローバル展開を見据え、世界中の企業に活用されているERPパッケージなら、全世界共通の標準的な業務のやり方を実現できるのではと考えました。

SAPを選んだ決め手

  • 6つの評価軸からERPパッケージの優秀さを実感

課題解決の手段として、同社は次の3つの選択肢を比較検討しました。

●スクラッチ開発の継続

●ERPパッケージ

●個別業務パッケージ(不足部分は新規開発)

評価にあたっては、①最適化・標準化、②機能連携、③グローバル対応、④ユーザーの使いやすさ、⑤開発期間・コスト、⑥継続利用の容易さという6つの軸を設定しました。

    

スクラッチと個別業務パッケージは、いずれも構造が複雑になりやすいという弱点を抱えていました。加えて、「10年間は使えるシステムにしたい」という⑥継続利用の観点からも、ERPパッケージが最も理にかなった選択だという結論に至りました。

   

ERPパッケージは④ユーザーの使いやすさの評価だけが低いという弱点がありました。しかし、これは裏を返せば「使い慣れた仕組みかどうか」の差に過ぎません。それよりも、他の5つの軸で優れていることの方が会社にとって本質的に重要だと判断されました。

さらに、⑤開発期間・コストについても3つの選択肢に大きな差はなく、「ERPパッケージは高価」という先入観が覆されたことも、導入の後押しとなりました。

  • グローバル対応力の高さ

海外拠点への展開を見据えると、各国ごとの言語・法令・商習慣に対応しているグローバルなERPパッケージが現実的な選択肢となります。日本のソフトウェアベンダーのパッケージは海外で使えないという制約もあったことから、総合的に判断してSAP ERPが選ばれました。

その効果は実際の展開スピードにも表れており、日本での導入から2年後に行った台湾拠点への導入は、1年もかけずスムーズに実装することができました。

導入時の方針

  • テンプレートに合わせて業務を再構築

従来の業務のやり方をゼロから見直すのではなく、あらかじめ用意された豊富な機能・業務プロセスの選択肢から最適な組み合わせを選び取り、自社の業務を組み立てる方針を採用しました。アイ・ピー・エスが提供するテンプレートEasyOneを基盤に、新しい業務プロセスを構築していったのです。また不定形な「生もの」製品や得意先ごとの容器・容量に対応するための煩雑な在庫管理、品質マスタ管理の課題をSAP for Mill Productsで解決しました。

  • 推進体制

検討段階から経営層とともに進め、プロジェクトメンバーに実務担当者と業務変更を承認する部門上長を加えたことで、スムーズな推進を図りました。

SAP ERP導入中の苦労

  • マスタ整備の失敗

マスタ設定への理解不足や部署間での認識のズレから、製品の二重登録や誤った廃止処理などが発生。似た外観でも容量・容器が異なる製品を多く抱える同社では、現場が見えるレベルでマスタを統合・分割してシステム化することに非常に苦心しました。

  • 部門間の情報伝達不備

教育が特定のユーザーのみに偏り、現場全体への浸透が不十分だったことや、受注入力しても次工程の担当者が気づかないといったような担当者間のコミュニケーションの流れまでをプロジェクトで想定しきれていなかったことから、業務の流れのストップや、受注や検査・出荷の情報が次工程に伝わらない事態が発生しました。

同社では、稼働翌日から臨時対応体制を敷き、2時間おきにメンバーで集まり進捗確認を行う運用を重ねることで連携を図り、徐々に安定稼働へつながっていきました。

導入の効果―― スピーディーな海外展開と業務の標準化

導入効果として大きいのが、状況変化に迅速に対応できるシステム展開力です。セカンドファクトリーと位置づける台湾拠点への展開では、ライセンスの買い直しやサーバー新設、言語対応といった大掛かりな作業は不要で、パラメータ設定の変更だけでスムーズに対応できました。現場ごとに異なる在庫管理単位や顧客要望による管理方法の変化にも、同様に柔軟に対応できています。

また、受注から出荷までの情報をタイムリーに把握できるようになり、以前は課題だった生産計画・在庫・出荷計画・進捗の可視化が実現。業務プロセスの標準化も大きく前進しました。副次的な効果として、SAP ERP導入を伝えることで顧客からの信頼を得やすくなった点も挙げられます。

解決した経営課題 ―― 部門の壁を越えた結束とグローバル競争力の強化

SAP ERPによる一気通貫の情報把握と、導入初期の混乱を乗り越えた経験により、部門相互の理解と結束が強まりました。プロジェクトメンバーは解散しても、担当者レベルが部門を越えて集まる月1回の情報共有会議は今も続いており、業務改善に向けた前向きな議論ができる場となっています。

また、紙の伝票に頼らずすべての実績数値を把握できる情報基盤が整い、経営の意思決定を支える「情報の見える化」も実現しました。グローバル競争力の強化については、SAP導入の効果を厳密に測ることは難しいものの、海外取引比率が導入前は約50%から約80%に、売上高も導入時から2倍以上に成長。半導体向け液状封止材で世界シェア40%を占めるまでになった同社の成長を支えた要因の一つといえるでしょう。

会社情報

設立1947年2月
社員数846名(2026年3月末)
資本金8,000万円
売上1,282億円(2025年度)
業種製造業
事業内容エレクトロケミカル材料の研究・開発、製造、販売
導入内容SAP ERPの購買管理、在庫管理、販売管理、生産管理、財務管理、管理会計
BI(情報分析)を導入
導入期間SAP ERP 2011年3月から2012年11月

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